つっぴ君と 大学時代の作品

つっぴ君は、美大生でした。
高校の時のつっぴ君の真面目なイメージと、美大の自由な校風には少し隔たりがあるように私は思っていたのですが、実際はどんどん大学色になじんで、のびのび過ごしていたようです。


初めて学祭へお友達と一緒に遊びに行った時、紹介しようと探し出したつっぴ君は体育のジャージをはいてGパンを洗っていました。「絵の具がついちゃった」のだそうでした。
その時の出品作品は、モノクロのアクリル彩色の絵で、駅を通過する列車を描いたものでした。写真をそっくりに写したような細密な絵で、ちょっとだけイヤな感じがするように作ってありました。

2年目に遊びに行った時は、すでに展示してある作品にまだ手を加えていました。ちょっと描きたして、後ろに下がって見直して、またちょっと描きたして、下がって首をひねって、またもうちょっと描きたして・・・エンドレスです。
Gパンを洗っていた時と同じくらい楽しそうな様子でした。
そのとき描いていた絵は、ペンか鉛筆のモノクロでドラえもんなどの有名アニメキャラクターをデフォルメしたものでした。つっぴ君はこの作品がずいぶん気に入っていて、「いいでしょ〜」と言いながら、描きたし続けていました。

3年目、4年目に何か出品していたか、残念ですが、思い出せません。いつだっかた忘れてしまいましたが、2年目の絵は他の方の作品と一緒に絵本に仕上げていました。


卒業制作は、大学のCIを提案するものでした。
大学の理念をまとめ、コピーを作り、イメージカラーを設定し、ロゴマークをデザインしていました。それらを元に、学生証やレポート用紙や便せん、封筒もデザインしていました。たぶん一番必要だと考えていたのでしょう、通学バスもデザインしていました。
ドラえもんの時の「おもしろいでしょ〜」という感じから一転して、高校の頃の真面目で理論派のつっぴ君らしい作品でした。


たぶん、どちらもつっぴ君が「これ、おもしろい」とか「こういうの、いいかも」とか「いいこと考えたー」という気持ちから生まれたもので、違いはなかったのだと思います。
卒業制作を作っている姿を時々横で見ていたのですが、真剣で、楽しそうで、夢中で作っている様子でした。
高校生の頃、深夜に学祭の絵を描いていた時も、きっと同じように夢中だったのでしょう。大学生になってドラえもんにいつまでも筆を入れていた時も、やっぱりとても楽しそうでした。


会社の方から、つっぴ君が最後に提出した小論文を返していただきました。デザインにマーケティング手法を取り入れるという提案でした。とてもつっぴ君らしい内容で、少し卒業制作のことを思い出しました。


絵本になった2年目の絵です。つっぴ君、恥ずかしがると思うので、小さめにアップしましょうね。