つっぴ君と チャーリー君

つっぴ君は、高校時代自転車通学をしていました。
自転車の名前はチャーリー君。12段変速のかっこいいロードバイクです。
おそらく高校入学時に買ってもらったもので、アタック隊でのサイクル活動奥多摩サイクルアタックでも活躍したようです。
雨の日も風の日も雪の日もつっぴ君を高校まで運び続けた働き者で、何かにぶつかったり、どこかに落ちたり、バイクに接触しかけたりという度々の危機を、二人で乗り越えて来た戦友でもありました。


それだけの運転実績があれば、自転車に乗るのは上手だったのではないかと思うのですが、つっぴ君は修学旅行で訪れた清里でレンタルサイクルを倒して、その事実を文集に書き綴られています。その一文を見つけて、何故転んだのか聞いたのですが、「あの時はいろいろ事情があったんだい」と言うばかりでした。


高校では、自転車がしばしば靴箱の上に逆さまに置いてあったり、木の枝や電柱の足場にぶら下がっていることがありました。毎日の光景なので、私は自転車置き場じゃなくて、なるべく昇降口近くまで乗って来て降りた結果の合理的な選択なのだと思っていたのですが、後日その話になった時、つっぴ君は「あ、あれはいたずらだよ」と言いました。「ヒトの自転車をいたずらでぶらさげてるの」どうやら、つっぴ君の中学校でもよく見られた風景なのだそうでした。「中学の時、よく背の低い子の自転車や学帽を、電柱や木の枝にぶらさげたよ」
高校生になっても、そんないたずらをしていたかはわかりませんが、チャーリー君はつっぴ君を乗せて走るだけでなく、時に木の枝にもぶら下がっていたのかもと思うと「おつかれさまでした」と頭を下げるより他にありません。


3年生も終わりの頃、つっぴ君は自転車を降り、それまで二人で走った道のりを確かめるように歩いて登校していました。チャーリー君にも卒業の時期が近づいていたのでしょう。


大学生になってつっぴ君が免許を取ると、私はよくつっぴ君の車に乗せてもらうようになりました。
でも、自転車の後ろには一度も乗ったことがありません。
一度、自転車に乗るつっぴ君とバス停まで一緒になったことがありました。蛇行してスピードをうんと落として走るチャーリー君の横を伴走して、おしゃべりをしながら帰りました。私には自転車の後ろに乗るという発想が全くなかったのです。

損した・・・。



チャーリー君に乗る時のマストアイテム、制服の裾止めバンドです。