つっぴ君と バイト生活

つっぴ君は、大学時代バイトにあけくれていました。
そもそも働くことが大好きなようで、高校時代に郵便配達や廃棄紙の収集のバイトをしたことも「楽しかったー」と話してくれました。
大学時代は、ほぼ4年間、駅ビルの清掃のバイトを続けていた他に、勉強のためでしょうか、ラオックスで販促物などのデザインをするような部署でも働いていました。ラオックスのバイトに夢中になるならわかるのですが、つっぴ君は清掃バイトの方がずっと好きだったようでした。


肉体労働ですし、終わる時間も遅いですし、時給がいいとは言っても、それらを考えると妥当な金額だったはずです。何が気に入ったのかというと、やればやるだけ、みるみる結果が出るところなのでした。「おにいさんが磨くと、床がぴかぴかになるの!」と床磨きの腕がぐんぐん上がっていることを誇らしげに語っていました。
他のデパートや駅ビルを歩いていても、めざとく床の汚れを見つけると「あれは、一度ヘラで剥がさないと。早くやらないと取るの大変になるんやで」とか「お?ワックスかけたね。でもムラになっとる」など、ちょっとしたお姑さんのようになっていました。
清掃マシンを動かすことも、もちろん大好きだったようです。バイト仲間に、操縦が上手だとほめられたとも言っていました。想像するに「美しき青きドナウ」が聴こえてくるような操縦ぶりだったのではないでしょうか。外出先で清掃マシンに遭遇すると目が釘付けで「洗剤でるで」と実況したり、どういうルートでこのフロアを磨いていくかを予想しては、「おにいさんのほうが上手い」などと言っていました。


あまりにバイトばかりしているので、ある時「つっぴ君、バイトばっかりしてるー」と不満を漏らしたことがありました。すると、つっぴ君は「君とデートするのに、どれだけかかると思ってるんやー」と答えました。その時は「ぇぇ〜・・・」と、しょんぼり引き下がったのですが、今思うと、とんだ濡れ衣のような気がしてなりません。私はお誕生日など以外で金品を要求することもありませんでしたし、食べるものだってパスタやラーメンだったわけですし・・・。
とっさにつっぴ君が嘘をつくとも思えないので、「この人、連れて歩くとお金かかる・・・」というのは実感だったのであろうとは思いますが、今、部屋にあるギターやベースやモデルガンを見るにつけ「やっぱり濡れ衣」と思うのです。



関係ないですが、高尾山の茶屋の写真です。