つっぴ君と マヨネーズ戦争

つっぴ君は、決してマヨラーではありませんでした。しかしマヨネーズは頭の痛い問題の一つでありました。


つっぴ君は、KFC では必ずコールスローサラダMを2つ食べましたが、家でもコールスローサラダを熱烈にリクエストしました。コールスロー用のドレッシングではなく、マヨネーズで作ったものです。つっぴ君は、このサラダをキャベツだけで半玉以上、ボウルに丸まる一盛り、一人で食べました。しかも胸に抱いたボウルの中に、にゅるにゅるにゅるにゅる追加マヨネーズをしたのです。
つっぴ君は結婚早々から少々体重に問題を抱えていました。サラダを作るときも、私はコーヒーフィルターで水分を切ったヨーグルトでマヨネーズを割り、胡椒を強めにするなどして、マヨネーズ半減策をとっていました。マヨネーズに粒マスタードを入れたり、カレー粉を入れたりして、味のアクセントでつっぴ君の目をくらませようともしていました。しかし、つっぴ君はしかとボールをその腕に抱えるや、冷蔵庫からマヨネーズを取り出し、にゅるにゅるにゅるにゅる・・・。


マヨネーズをカロリー控えめのものにすると「おいしくない」と言って、にゅるにゅるにゅるにゅるがさらに倍になりました。容器も小さいので、きりよく空になるまで出していました。冷蔵庫にマヨネーズを切らしておくと、帰りにコンビニで買って帰ってきてしまいます。その時の私がこの言葉を知っていたら「orz」とつぶやいたに違いありません。


カレーライス、コールスローサラダ、グラタンと、つっぴ君が鍋あるいはボウルで消費していた食べ物は、体重が新たなステージに達していることが明るみにでるや、我が家の食卓からは姿を消してゆきました。たまに登場するときも、すっかり「食べきりサイズ」に身をやつしており、つっぴ君には切ない再会であったことでしょう。


つっぴ君の理想のコールスローサラダは、キャベツ、ツナ、オニオンスライス、そしてマカロニでした。ゆで卵だってカニかまだって、入ってくるものは拒まずの無礼講でした。
ある日、いつものようにボウルを抱えて食卓についたつっぴ君は、サラダを食べはじめるなり「リンゴがはいっとる!!」と声をあげました。失敗したかなぁと思い謝ると「違う違う!じゃがいもやぁ・・・と思って食べたら、リンゴだったんや!!」見ると、つっぴ君は目を真っ黒にして、ほっぺも少し光らせていました。この時、つっぴ君の内側では「歓喜の歌」が流れていたのに違いありません。
後にも先にも、私の手料理でつっぴ君がこれほど喜んだことはありませんでした。ただリンゴだっただけなのに・・・。もっと食べさせればよかったなぁと思います。



これが、つっぴ君のMYボウルです。
ダルマと比較すると、大きさがよくわかります。