つっぴ君と うちの母

つっぴ君は、なかなかの親孝行ものでした。
うちの家族はふだんからとてもよくしてもらっていましたが、なかでも、うちの母のことはたいそうかわいがっていたのです。
「泡がたってるコーヒー飲んだの!すごくおいしかったの!また飲みたいわ」と母が言えば、カプチーノを飲みにカフェへ。
はとバスに乗りたいの!今、流行ってるんですって」と母が言えば、はとバスに乗って、新春の成田山葛飾柴又のツアーへ。
母が「ラベンダーが見たいの」と言って河口湖へ連れて行ってもらった時は、「彼女か!?」と思いました。


いろいろプレゼントもしてくれましたが、秀逸だったのは「母オリジナルTシャツ」です。
私が描いた母の似顔絵をつっぴ君がデザインしなおして、アイロンプリントにしてTシャツを作ったのです。ステッカーも作りました。
母は大喜びで、自分Tシャツを着、自分ステッカーをスーツケースに貼り、欧州旅行へ旅立ちました。ヒロシがヒロシTシャツを着ているような、ぴょん吉ぴょん吉Tシャツを着ているようなものですが、旅行先ではツアー仲間との会話のきっかけに役立ち、すっかり名前も覚えてもらえ、「娘婿が作ってくれたんですよ」と言ってはうらやましがられたそうです。
中でも一番嬉しかったのは、ツアコンさんに「とってもすてきですね」とほめられたことだそうでした。
「ああいう職業だから、たくさんお客さんを見ているでしょう?そういう人のほめられたのよ!おしゃれした服をほめられるより、これをほめられる方がうーんと嬉しいわ」
そういってくれました。


このTシャツは妹たちにも好評で家族中で着たりしました。「すごいねー。すごいねー」と私たちが大喜びしても着てみせても、つっぴ君は照れるでもなく、嬉しそうにするでもなく・・・。

でも、家に帰ってから「みんな喜んでたね」と言うと「とうぜん!」などと答えては、次なる作品にとりかかるのでした。



デザイン違いで3〜4種類ありました。母の自画像Ver.もあるんですよ。