つっぴ君と ちょっとしたミラクル

つっぴ君は、人を驚かせるのが好きでした。こっそり準備をして、そっと仕掛けをして、誰かが喜んだり驚いたりするのを見るのが好きなのです。お礼を言われても「うんうん」と生返事みたいに聞き流すのですが、後で「すごいねぇ。さすがだねぇ。」と褒めると…

つっぴ君と 初めてのお盆

つっぴ君は、この夏、初めてのお盆を迎えました。 真新しい秘密基地は、お盆仕様に整えられ、お供えも並べられました。頂き物のお盆の提灯も、水玉模様を走馬灯のように壁に天井に浮かべていました。真菰だとか藁だとかほおずきだとか蓮の葉を模した紙などで…

つっぴ君と この夏のお出かけ 2

つっぴ君は、9日、ワールドハピネスへ行ってきました。 家を出る間際まで、せっかくちいちゃくなったのだから壷ごと一緒に出かけようか迷ったのですが、万が一にも迷子にしてはいけないと、ペコちゃんバッジをバッグにつけて出かけることにしました。 お目…

つっぴ君と この夏のおでかけ

つっぴ君は、子供の頃、夏休みには田舎へ帰っていました。お母さんの里の宮城か、お父さんの里の山形でした。 ある夏の帰省の際、つっぴ君の乗った車は交通事故に巻き込まれてしまいました。つっぴ君はおでこかどこかを切ってしまい、救急車に乗せられて病院…

つっぴ君と 夏休み

つっぴ君は、渋滞や混雑が大嫌いでした。会社のお休みも、なるべく行楽シーズンを外してとっていました。 なので、どこかへお出かけというときには、桜なら咲いていなかったり、紅葉ならまだ青々していたりしていました。毎年でかけた山形へのお墓参りも、お…

つっぴ君と 通販の誘惑

つっぴ君は、深夜番組が好きでした。一人、夜更かしして観る番組のなかには通販番組もありました。 オリンピックのような量販店に行くと、つっぴ君は時々挙動不審になりました。エスカレーター脇にあるうさんくさい「便利グッズ」コーナーに吸い寄せられるよ…

つっぴ君と 信じられない妻の食生活

つっぴ君は、甘いものも好きでした。 とは言っても、チョコとうまいぼうなら、うまいぼう、おはぎとベビースターなら、ベビースターでした。ですから全てにおいて甘さが第一義である私の好みは理解しがたい部分もあるようでした。 最もつっぴ君が驚いたのは…

つっぴ君と 夏のお出かけ

つっぴ君は、暑いのが苦手でした。夏バテするとかということではなく、人一倍暑がりだったからです。 エアコンの効いた室内で、ごろごろ過ごすのが好きでした。 帰宅すると、たまに冷えたビールを飲むのが好きでした。 アルコールを止められてからは、帰り道…

つっぴ君と 旅立つローバー

つっぴ君は、ローバーこそ生涯をともにする車と決めていました。何故なら会社が倒産したみたいだったからです。買い替えようにも値もつかないと言っていましたが、何より気に入っていたことは確かでした。 そのローバー君、本日ドナドナされてゆきました。購…

つっぴ君と 文化祭3

つっぴ君は、ある日、近所の高校の文化祭へ行くと言い出したことがありました。 数年前のことでした。商店街に貼ってあった近くの高校の文化祭のポスターを見つけたつっぴ君は「文化祭、行くで」と言いました。私は小学生の頃よく遊びに行った高校の文化祭で…

つっぴ君と ちゅうぼうS

つっぴ君は、子供が転げ回ってムキになって遊ぶ姿を見るのが好きでした。「あほーやのぅ」と言いながら、飽きずに眺めていました。 でも、それは小学生までの話でした。 つっぴ君は中学生男子には非常に厳しい態度で接していました。特に男子だけでつるんで…

つっぴ君と お買い物のおつきあい

つっぴ君は、お買い物には必ずついてきてくれました。ただ夕方、近所の生協に行くのでも「へーい」と返事をすると、そそくさ起き上がり付いてきてくれました。 スーパーには魅力的な商品がたくさん並んでいました。でも、つっぴ君が「おお!」と胸をときめか…

つっぴ君と ちびっこたち

つっぴ君は、子供が転げ回ってムキになって遊ぶ姿を見るのが好きでした。「あほーやのぅ」と言いながら、飽きずに眺めていました。 近所の小学校が校庭を解放していた頃、思い立ったように子供が遊ぶのを見に行ったことがありました。両手で抱えたボールを、…

つっぴ君と 国民の義務

つっぴ君は、選挙が好きでした。欠かさず投票へ行き、夜は選挙速報に釘付けでした。 日曜日、ゆっくりお昼を済ませて家を出ると、投票所までは歩いてほんの数分でした。その道のりでは、同じような年頃の夫婦連れが同じ場所目指してぷらぷら歩いているのと一…

つっぴ君と 花火大会

つっぴ君は、しばしば花火大会へ行きました。へそ曲がりのつっぴ君にしては珍しいことでした。 数年前まで、裏を流れる川の15分ほど川下で毎年花火大会がありました。隣駅まで行けば夜店も出ていました。この近所からでもよく見えるので、土手にはずいぶん…

つっぴ君と ぴっかぴかマシーン

つっぴ君は、整理整頓が好きでした。 会社で使っていた私物の中に、黒いトレイがありました。引き出しに入れて、文具類をきれいに収納するためのものです。つっぴ君はこのトレイを買うために、あちこち文房具屋さんを巡っていました。ハンズでつっぴ君がこの…

つっぴ君と 不変の視聴行動

つっぴ君は、テレビが好きでした。 朝起きればすぐテレビ、帰宅すれば即テレビ、夜も目が覚めている限りテレビでした。朝はテレビだけ起きて観ているような音量で点けて、二度寝をしていました。うるさいので消すと「起きれないやろー!」と怒りました。家に…

つっぴ君と 取説の類い

つっぴ君は、何か作業をするときは、きちんと取説を読むタイプでした。不明な点があると、資料を探して自力で解決をしていました。 Macを初めて買った頃、時代はまだテレホーダイでした。つっぴ君が何かをどうにかして、我が家でもインターネットを楽しむこ…

つっぴ君と バラエティのお作法

つっぴ君は、バラエティ番組が好きでした。とんねるず、ダウンタウン、99はもちろん、ジャニーズ系、モー娘。系バラエティも欠かさず観ていました。 平日に休みをもらうと、朝のニュースバラエティから「笑っていいとも」「ごきげんよう」昼の情報バラエテ…

つっぴ君と 意外な弱点

つっぴ君は、あんなにこんがり小麦肌でありながら、肌は弱かったのでした。ちょっとした刺激で赤くなったり、小さな傷の跡がいつまでも残ったりしていました。 ある日、私はつっぴ君の腕に尋常ではない盛り上がりができているのを見つけました。何か大変な皮…

つっぴ君と 夜のウォーキング

つっぴ君は、時に「ダイエットしないとのぅ」と思うことがあったようでした。 結婚して間もない頃、定期的にぷらぷら私の実家まで歩くというウォーキングをしていた時期がありました。つっぴ君は体重が気になるとはいえ、まだまだそう太っている訳ではありま…

つっぴ君と つっぴ家のおとうとさん

つっぴ君は、二人兄弟のお兄さん、おとうとさんとは1学年違いでした。おとうとさんによると「中学以来まともに話もしていないなぁ」ということでした。 兄弟でずいぶん性格が違っているようでした。つっぴ君は無口、おとうとさんは社交的な性格にみえました…

つっぴ君と 冷やご飯のこだわり

つっぴ君は、冷めたご飯が好きでした。夕食を温め直そうとすると、ぷるぷる首を振りました。元々温かいはずの食べ物なら温め直して食べた方がおいしいと思うのですが、つっぴ君は「冷たい方がおいしい」と主張して譲りませんでした。 つっぴ君は汗っかきで、…

つっぴ君と 省エネ無口主義 2

つっぴ君は、あまりおしゃべりではありませんでした。ずーっとずーっと前は家族の話や子供の頃の話、中学時代の話などをしてくれましたが、その時だって決して饒舌ではありませんでした。そんなつっぴ君が、とても快調にたくさんしゃべったことがありました…

つっぴ君と 省エネ無口主義

つっぴ君は、あまりおしゃべりではありませんでした。しゃべることが嫌いなのではありません。会話の輪にいることも好きだったと思います。でも、自分から人に話しかけたり、相づちをうったりすることはほとんどありませんでした。 家では返事さえしませんで…

つっぴ君と Mac 3

つっぴ君は、家でもMacを使っていました。お仕事を持ち帰ってくることは、PCの性能上不可能なので、主にお家ユースのMacです。とても高価なはずのソフトもいつのまにかきちんと入っていて、フォントもどこからかダウンロードしてきていました。そうして年賀…

つっぴ君と 1/2周忌

つっぴ君は、ファミレスにブランチに行くのが好きでした。一時期は大ブームで、休日の朝はファミレスでした。 「ファミレスでモーニングビュッフェってあるの知ってる?」ある日、帰宅したつっぴ君は言いました。知らないと答えると「1000円以下で食べ放…

つっぴ君と お祭り

つっぴ君は、今の家の近所のお祭りを「こんなのお祭りじゃない」と言っていました。つっぴ君の実家近くのお祭りが本当のお祭りだと言っていました。 つっぴ君の実家の近所では「蛇も蚊も」という名前のお祭りがありました。萱で大きな蛇のようなものを作って…

つっぴ君と つっぴ家のおかあさま 2

つっぴ君は 大学生の頃、滅多に家族と口をきかなかったそうです。高校生の頃も中学生の頃も、そうだった言います。家でどう過ごしていたのかというと、自分のお部屋にこもって、何を言われても知らーん顔をしていたようでした。 つっぴ君の家は、常に来客が…

つっぴ君と オオカミ少年

つっぴ君は、たわいもない嘘をつくのが大好きでした。 ある日、二人で車に乗っていると横を通り過ぎる車の後ろのドアに「マルマルワンワン」と書いてあるのが見えました。何かワッペンのようなデザインがしてあるものでした。「マルマルワンワンだって。変な…