つっぴ君と 映画鑑賞

つっぴ君は映画が好きでした。
ジャンルを問わず、映画館でもテレビでもビデオでも、映画を観るのが好きでした。「映画が好き」と公言する場合、映画館で観なきゃダメとか、吹き替えはダメとか、テレビ用に編集されてるのはダメとかあると思うのですが、つっぴ君はかまわないようでした。駅前に住んでいた頃は、休みが近づくとTSUTAYAに通っていましたし、鶴見に越してスカパーを入れた時は、日がな一日座椅子に座って映画鑑賞でした。


映画館へ行くのは、封切りから少し経って観客動員が落ちて来た頃と決まっていました。若い頃こそ「ラストエンペラー」を蛇のごとく列をなして待ったり、「AKIRA」を観るために有楽町まで行ったりしましたが、年をとるにつれ「安・近・楽」に流れ、最近の行きつけは港北ニュータウンシネコンでした。夕方車で出かけて、ぶらぶら本屋やCD屋をのぞいて、夕食を食べて、レイトショーを観て、駐車料金が無料の5時間を有効に使いきり、Nac5を聴きながら真っ暗な道を帰ったものです。帰りの車では、今観た映画の感想や、予告編のことをあーでもないこーでもないと話し合いました。つっぴ君は普段は口が重いのですが、運転しながらだと、ずいぶん饒舌におしゃべりをしてくれました。


ずっと前、二人で「魔女の宅急便」を観に行ったことがありました。映画が終わって外へ出たとき、ふいに強い風が吹き、たたみ直そうと広げていたつっぴ君の傘が大きく音をたてて膨らみました。じっと動かないつっぴ君の顔をのぞくと、目を真っ黒にして傘を見入っています。
「この傘、空を飛ぶ・・・」つっぴ君は明らかにそう思っていました。


今日、母と「おっぱいバレー」を観てきました。炭鉱の町、北九州の男子バレー部の中学生が、先生の胸見たさにバレーに打ち込むという青春ムービーです。時代は70年代、劇中ではチューリップの「夢中さ、君に」やピンクレディーが流れていました。
つっぴ君に「これ観に行こう」と言ったら、きっと「混んどるで」じゃなくて「おっぱいは観られるんやろうな」と言っただろうと思います。


それは観てのお楽しみです。



http://wwws.warnerbros.co.jp/opv/
映画のサイトです。

http://www.youtube.com/watch?v=AgUm6rHhF5M
永井龍雲「道標ない旅」 劇中で流れて懐かしかったので。


そうそう、つっぴ君は昔、京浜東北線淀川長治さんを見たことがあるそうです。