つっぴ君と スリムアップ大作戦

つっぴ君は、高校生の頃は痩せていました。
本人の申告によれば「大学の卒業制作の時に徹夜しては夜食を食べていた」ために、太ったのだそうでした。就職して、よく働きよく食べよく飲んだつっぴ君は、社会人として、また少し重みを増していたようです。結婚式では「名横綱」として、花嫁よりも人気を博していました。「痩せたいな〜」と思うこともしばしばだったようでした。


そういう時、つっぴ君は「まるごとレタス」作戦をとっていました。夕食を「まるごとレタス」で済ませるのです。昼食も合わせて控えめにしていたらしく、この作戦はそこそこの成果を上げて完了していました。
また「いっぱいキャベツ」作戦を採用することもありました。夕食に主食として「いっぱいキャベツ」を食べるのです。この作戦もそこそこの成果を上げ、完了していました。
年齢も若く、代謝もよく、体力もあったので、これらの作戦は可能であったのでしょう。でも、この「レタス&キャベツ」作戦は長期戦には不向きという欠点を抱えていました。


長期戦を覚悟しなければいけない場合、それは我が家をあげての総力戦を意味していました。
ここで新戦力「豆腐・わかめ・緑豆春雨」三銃士の登場です。彼らはサラダ戦線、スープ戦線に時にトマトを伴って投入されました。つっぴ君は緑豆春雨をマロニーちゃんに替えるようしばしば抗議をしましたが、マロニーちゃんはデンプンであるという理由で却下をされていました。戦力に文句をつけることでも明らかなように、長引く戦いにつっぴ君には厭戦気分が蔓延していました。こうなるとせっかくの「特製おなかいっぱいスープ」もおいしくなく、戦意は下がるばかりでした。
このような局面では、主力部隊(おかず方面)は撤退したかに見せかけての化学兵器の投入が、つっぴ君には知らされないまま実行に移されました。ご飯を炊く時に「粉寒天」を混ぜるのです。食物繊維をたっぷりとって、健康的にやせてはどうかという作戦でした。これは「白いご飯がつやつやおいしそうになる」という問題を抱えていました。また、つっぴ君は「個人のプライバシー」を盾に戦果の報告を拒否するようになり、毎度毎度やがて大本営は解体の日を迎えるのでした。


つっぴ君も30代半ばを過ぎる頃には「無理しても痩せない」と気づいたようでした。その結果「無理して痩せたりしない」ことになったようで、最近は「レタス&キャベツ」などの作戦を自ら展開することはありませんでした。そのかわり、ゆるやかなおかずの低カロリー化政策などの平和的な解決策が常に検討され、実行されては、失敗していました。


実は、私はつっぴ君が痩せた方がいいと思ったことはありませんでした。「太っている」あるいは「太り過ぎている」という実感もなかったのです。ネタというかキャラ設定として「つっぴ君は太っている」という形になっているように受け取っていました。確かに高校時代は痩せていました。けれど、いつの写真も結局同じに見えるのです。誰がデザインをしたものか、つっぴ君は外観的にも本当によくできていたと思います。