つっぴ君と おうちデザート

つっぴ君は、甘いものも好きでした。それも、家でいっぱい食べるのが好きでした。


ケーキなら不二家のチーズケーキのホールでした。コストパフォーマンスと味とで最も優れていたようで、買ってきて一切れ、食後のデザートに一切れ、寝る前のお楽しみに一切れと、1/4カットしたものを4/3まで一人で食べていました。そうでなければロールケーキです。これもつっぴ君の包丁加減で一切れ大が決まるため、放っておけば3回程度に分けながら半日で食べ終わっていました。
おはぎも好きで、お彼岸頃にスーパーに行くと、いつのまにかカゴにおはぎが入っていました。食べ物には保守的なつっぴ君ですが、おはぎに関しては、こしあんでもきな粉でもゴマでもおいしく食べていました。そういえばお団子も、あんでも海苔でもみたらしでもずんだでも無問題に平らげていました。
プリンを食べるならプッチンプリンビッグでした。風邪をひいた時などに、「何か買ってこようか?」と聞くと、迷わず「プッチンプリン」と答えていました。もちろんビッグです。その他にガリガリ君やチョコもなかジャンボも持って帰れば、風邪でも食欲は衰えないつっぴ君の「君、合格」のうなずきを見ることができました。


ある日、つっぴ君が帰宅すると、アップルパイが焼けていました。親戚から15キロ送られてきたリンゴを消費するための窮余の策に、私が作ったものでした。つっぴ君は目を丸くしたまま「うまいうまい」と言って食べてくれました。
翌朝、「今日も夜、アップルパイ食べたいのぅ」と言って、つっぴ君は家を出ました。特別おいしいアップルパイだったわけではありません。パイは市販の冷凍パイシートです。ただ、家のオーブンからアップルパイが出てくることに、つっぴ君は新鮮な感動を覚えたようでした。その後しばらくは、帰宅するなり「アップルパイ焼いてー」と言ったり、出勤前に「今日もアップルパイ食べたいのぅ」と言い残して家を出たりしていました。
15キロのリンゴはコンポートになったり、ジャムになったり、パウンドケーキになったりしましたが、つっぴ君はアップルパイが一番よかったようで、焼きリンゴを作ったときは「(同じ焼くなら)アップルパイにしてよー」とオーブンを覗き込みながら言いました。


今年のバレンタインディには、チョコとマシュマロのパイを作りました。もし、つっぴ君が食べてくれたら、きっと無言でもしゃもしゃ食べたでしょう。「おいしかった?」と聞けば「うんうん」とうなずくのですが、「上に塗ったジャム、失敗だったかも。それに、少ししなっとしてる」と私が言えば「ジャムじゃなくて砂糖かけてもいいかも」とか「時間が経ったら仕方ない」とか答えたでしょう。そして、私がひとしきり反省し終わる頃に「うまかったでー」と言ってくれたのではと思います。いつかアップルパイも焼こうかなぁ。



幻のプッチンプリンです。ハッピープッチンプリンです。

http://www.youtube.com/watch?v=DaETbkU2grQ

http://www.youtube.com/watch?v=r7ozOpRLx-4