つっぴ君と ウクレレのその後

つっぴ君は、ウクレレを持っていました。弾いているのを聴いた覚えはありません。せっかく遺していってくれたものだから・・・と3月から私が代わりにウクレレ教室に通っています。


ウクレレは聴かせてくれた覚えのないつっぴ君ですが、ギターやベースは時々抱えている姿を見ました。休日の昼間や夜にリビングのソファで、弦を張り替えたりチューニングをしたり、時々きれいに拭いたりしていました。楽譜を広げて、ちょこちょこ練習もしていたようです。モデルガンはあんなに威勢良く音を立てていたのに、ギターは遠慮がちにチロチロ弾くだけなので、何を弾いているのかはわかりませんでした。


そんなつっぴ君が、ちゃんと演奏をしてくれたことがありました。
もう15年は前のことです。その頃、私の実家は家族カラオケブームのまっただ中でした。しばしばタクシーに分乗して、近所の大きなカラオケ屋さんへ一家で繰り出していました。もちろん、つっぴ君も一緒です。つっぴ君は、私の父が蘇州夜曲を私の母が美空ひばりを歌う中、自分も私の両親も好きな加山雄三を歌っては喝采を浴びていました。
ある日、家族カラオケで私は「愛は花、君はその種子」という歌を歌いました。「おもひでぽろぽろ」というジブリ映画のエンディングの歌です。みんな知らなかったようで、反応が今ひとつだったことと、それにしても上手く歌えなかった私は、家に帰っても反省をしていました。「とってもいい歌だから、きっとみんな気に入ると思ったのに・・・」すると、つっぴ君は棚から楽譜を、ケースからギターを取り出し、イントロを奏ではじめたのです。
つっぴ君が一曲ちゃんと演奏するのを聴いたのも、それに合わせて歌を歌ったのも、これが最初で最後でした。


一昨夜のことです。もう寝ましょうとお布団にもぐっていると「こん、びよ〜ん」という音が暗闇に響きました。ウクレレの胴体に渡してある、弦を止めるブリッジというパーツが外れてしまったのです。ブリッジは弦にぶら下がって、びよんびよん揺れていました。早速修理に出しましたが、直って帰ってくるには2週間以上はかかりそうです。目標のムーンライダーズにはまだまだ到底届きませんが、これからも練習頑張ります。



おもひでぽろぽろ」エンディングです。
観たことない方は観てはいけません。だってエンディングですから。
http://www.youtube.com/watch?v=-tB3a7DuidE