つっぴ君と Mac 3

つっぴ君は、家でもMacを使っていました。お仕事を持ち帰ってくることは、PCの性能上不可能なので、主にお家ユースのMacです。とても高価なはずのソフトもいつのまにかきちんと入っていて、フォントもどこからかダウンロードしてきていました。そうして年賀状を作ったり転居ハガキを作ったりしていました。


最初のMacはデスクトップ型でした。鶴見への転居ハガキはこれで作りました。つっぴ君はよく何かの練習なのか勉強なのか、Macの前に座って作業をしていました。雑誌もよく買い込んできていました。読みながら何か確認したり発見したりするのが楽しかったようでした。
ある日つっぴ君が「これ、起動音、好きなのに変えられるでー」と言い出しました。録音した音を設定できるというのです。それはいい、よし、やろうやろう、とすぐに賛成したものの、何を録音するかが決まりません。「君、何かしゃべれ」「いやや。君こそなんかしゃべれ」「いやや」お互い自分の声はイヤなのです。すると、つっぴ君が「猫にしようや」と言いました。
さっそく猫を抱っこして、Mac本体のマイクに顔を近づけました。「鳴いてごらーん」「にゃーんって言ってごらーん」どうしても「録音した自分の好きな音に設定」ということがしてみたい私たちは一生懸命でした。つっぴ君が猫に猫なで声を出すことなど、滅多にあることではありません。猫は猫で可愛がられていることが嬉しいらしく、ごろごろ喉を鳴らすだけで、にゃんとも言いません。何回録音しても「ごろごろごろごろ」に「ふがーふがー」という荒い鼻息が録れるばかりでした。
猫を抱えてご機嫌をとりまくって、ようやく私たちは「にゃーん」という音を録音することに成功しました。晴れて我が家のMacは何かというと「にゃーん」という猫Macにカスタマイズされたのでした。


次は、iMacでした。緑色です。つっぴ君は「女子供におもねったデザインだ」などと言いながら、本当はとても欲しかったようでした。それでも我慢をし、安定性信頼性を確認した上に少しばかりの値下がりを待って、ようやく買い替えを決断しました。買うまではなんのかんの言うつっぴ君ですが、買うとなるとマウスも何もお揃いの緑色にしてみたりと、孫におもちゃを買う祖父のようにお財布の紐が緩んでいました。


その次は、iBookでした。これも我慢して我慢して買っていました。「デスクトップの必要ないしのぅ。ノート型で十分やしのぅ」と言いながら、PCデポMacコーナーをうろうろし、あれこれ操作をし、ポップを眺め「保留」と言うのを、ソフマップでもビックカメラでも繰り返していました。シルバーのMacBookと白いiBookで悩んで悩んで、最終的に「なんか分厚さがイマイチかっこわるい」と言いながら、iBookを購入していました。


このMacは、つっぴ君が悩んで諦めたMacBookです。iBookがもはや立ち上がることも危うい状況に陥っていたので、今年買い替えました。データをなんとか救出して保存したかったからです。無事救出したデータのいくつかは「とても高価なはずのソフト」が入っていないためだったり、「クラシック環境」がどうかあったりでプレビューもできませんが、いつかすごいソフトが出来て、見られる日が来るかもしれません。それまで大事にとっておきたいと思います。