つっぴ君と 新人研修の頃

つっぴ君は、印刷の会社に就職しました。デザインのお仕事に就いたのです。正式な配属前の研修期間には印刷工場へも通っていました。


学生から社会人になるということは、人生の大転換でした。落ち着いていて、たいていのことには動じないはずのつっぴ君ですが、さすがに入社した時はいろいろなことに新鮮な驚き、衝撃を受けていたようでした。


印刷工場では、大きな機械が稼働する様子にわくわくしていました。また、これから自分が携わるであろうデザインの仕事で間違いを起こせば、その機械が止められてしまうことなどを、話してくれました。
ずいぶん後になってから「編集王」というマンガで輪転機を止められずに、社員の手作業で雑誌に修正テープを貼る場面がありました。「こういうことになるの?」と聞いたら「そうそうそうそう」と言いながら「工場、懐かしいなぁ」とページをパラパラ繰っていました。
研修後もお仕事で工場を訪れることはあったようで、「今日は工場直行」「直帰」と言っては、早くに家を出たり早くに帰宅したりしていました。そして「変わってなかった」とか「エアコン切られて寒い」の「暑い」のと文句を言っていました。


工場で研修を受けていたとき「おいしいラーメン屋さんがあるから、おいで」と言われて、吉祥寺に行ったことがありました。定時退社のつっぴ君と6時前に待ち合わせをして、「ここ、ここ」と連れて行ってもらったのはホープ軒でした。きっと工場帰りに誰かに連れて行ってもらったのでしょう。濃厚なラーメンを二人で食べて帰ってきました。