つっぴ君と 思わぬご褒美

つっぴ君は、バレーボールが好きでした。試合を観るのも好きで、女子バレーを応援していました。


私たちが中学生の頃、日本女子バレーはとても強く大人気でした。中国、ソ連アメリカと大接戦を演じるのを、テレビの前で夢中で応援したものでした。その時に人気があったのが三屋裕子選手。もちろん、つっぴ君も三屋選手が一番好きでした。


つっぴ君は社会人になってから、お仕事で企業の女子バレー部に取材に行く機会がありました。中学時代に応援していた選手はもうチームにはいませんでしたが、それはそれは嬉しかったようでした。「体育館に入った」の「監督に会った」の、うきうき話してくれました。
そのお仕事の関係だったのか、その後のパーティーで、つっぴ君はついに三屋選手に会うことができました。「三屋がいた!三屋を見た!!」と大喜びで帰ってきました。


会社の方が撮ってくださったらしい、パーティ会場でのつっぴ君の写真があります。エスカレーターに乗っているつっぴ君、ロビーで座っているつっぴ君、どの写真もご機嫌で、時々変な顔までして写っていました。小さなカメラを手に、ファインダーを覗き込む姿も残っています。憧れの三屋選手の写真もアルバムにありました。ちょっと驚いた表情で真正面から捉えられた三屋選手は、現役の頃と変わらず、とてもきれいでした。撮るぞ撮るぞと握りしめていたコンパクトカメラで撮ったのでしょうか。それとも、つっぴ君を撮ってくれた方が撮影した写真をもらったものなのでしょうか。もし、つっぴ君が撮ったのだったら、つっぴ君らしからぬ勇気を振り絞った行動だったと思います。


まだ入社してそう経ってはいなかった頃の、思った以上に大きなお仕事だったと思います。無事、大きなお仕事を完成できたことはもちろんですが、バレー部を訪問できたこと、三屋選手にお会いできたことは、つっぴ君にとってもっとも嬉しいご褒美の一つに違いありません。



コンパクトカメラを構えるつっぴ君です。
いつもは一眼レフなので、カメラが小さく見えます。
*もしかしたらコンパクトカメラではないのかも。どなたかから借りたいいカメラかもしれません。