つっぴ君と カメラ=万年筆

つっぴ君は、カメラが好きでした。大きな一眼レフのカメラを持っていました。


大学時代に使っていたカメラはNikonでした。つっぴ君は「カメラはNikon!」と言って、他のメーカーの物を買う気は全くないようでした。カメラを構えている写真も残っています。私に厳しく言っていた通り、脇を締めて両足は肩幅に開いてカメラを構えていました。


結婚後、つっぴ君は新しいカメラを買いました。やはりNikonでした。
つっぴ君は時々思い出したようにカメラの手入れをしていました。買ったばかりのときは特に念入りに頻繁に手入れをしていました。お手入れグッズを指差して「これ何?これは何?」と聞くと、「これはねー」と使いながら説明をし、説明するとさらにお手入れに熱がはいる様子でした。握ると空気がしゅっと出てホコリを飛ばすらしいグッズがありました。ゴム風船のような形をしたものです。つっぴ君がいろいろな物を並べると、珍しい物に目がない猫が寄っていくのですが、つっぴ君はこのゴム風船のような物で猫を撃退していました。


やがてカメラ界にデジタルカメラが現れました。瞬く間に時代の寵児となったデジタルカメラに対して「テレビ屋やフィルム屋が作ったカメラなんか家電やん」と、つっぴ君は懐疑的な姿勢を崩しませんでした。ある日、そんなつっぴ君に衝撃的なニュースがもたらされました。Nikonデジタル一眼レフを発売するというのです。さらにカールツァイスという有名なレンズメーカーのレンズがデジタルカメラに投入されると言うニュースも飛び込んできました。「デジタルカメラなんて・・・」と言いながらも、つっぴ君の足はビックカメラへ向かい、一眼レフにしか見えないデジタルカメラの前に釘付けになっていました。


何度も何度もビックカメラへ足を運んだつっぴ君でしたが、結局Nikonではないメーカーのデジタルカメラを買いました。「カメラはNikonの一眼レフ!」というつっぴ君の信念と購買欲の妥協点がそこだったのかもしれません。一眼レフは滅多なことでは貸してくれなかったつっぴ君は、デジカメは私が撮ることになんの文句も言いませんでした。


つっぴ君のNikon一眼レフに対する愛情は、その後も冷めることはありませんでした。キャリーケースには、つっぴ君には珍しく、シールやカエルのフィギュアが貼ってあります。



デコキャリーケースと大学時代のカメラです。

新しく買ったカメラです。これを首からぶらぶらさせると、たいへんお怒りになりました。