つっぴ君と 観劇のご趣味

つっぴ君は、演劇を観るのが好きでした。スカパーが家に入ると、早速「シアターチャンネル」で観劇を楽しんでしました。


高校時代は「目の前で演技なんかされても気恥ずかしい」と、演劇には否定的でした。でも、いつのまにか三谷幸喜が好きになり、「大人計画」や「劇団☆新感線」に興味を持つようになっていました。上川隆也阿部サダヲをテレビで観て「かっこいいねぇ」という私に、「君は知らんやろー」と彼らの来歴を披露してくれたりもしました。


職場には多彩な趣味を持つ方々が大勢いらっしゃったようでした。演劇への興味もそういった方々の影響だったのではないかと思います。
手配していただいたチケットで、つっぴ君と劇を観に行ったこともありました。新宿からまた少し行った大きな劇場でした。つっぴ君は劇が終わるとそそくさと劇場を後にし、「こっちこっち」と軽い足取りで角を曲がり、「あったあった」と私をバーミヤンに案内してくれました。


高校の頃、たしか一年毎に陸上競技大会と文化的な催しとが交互に行われていました。1年生の時は映画鑑賞会で、つっぴ君は「ブレードランナー」を観に行ったようでした。3年生のときは学校の講堂で「演芸」が催されました。演芸の内容がなんだったか忘れてしまいましたが、途中で生徒が一人舞台へあげられて、「二本の棒がくっついてしまう」という演技のレクチャーを受けていました。つっぴ君は珍しく、その様子に爆笑をしていて、あとあとまで「あいつ、おかしいのーw」とことあるごとに思い出し笑いをしていました。あとで気がついたのですが、この時の生徒はつっぴ君の中学からのお友達だったのでした。
その後もつっぴ君は、彼の話題が出るたびに「あの棒をくっつけた奴ね」と注釈を加えることを忘れることはありませんでした。
もしかしたら、つっぴ君が舞台演劇に目覚めたのは、このお友達の熱演がきっかけだったのかもしれません。


秋の劇団☆新感線の舞台のチケットがとれました。1階桟敷席でお弁当付きです。もしつっぴ君に「お弁当付きだって!どうする?」と言ったら「どうせ、君食べたいんやろ?それにしたらええやん」と答えただろうと思います。だから、お弁当付きにしました。