つっぴ君と 怖い話

つっぴ君は、超常現象、心霊現象などを扱うB級バラエティ番組が大好きでした。ドラマも好きで「世にもなんとか」とか「本当にあったなんとか」というタイトルのドラマは、毎回楽しみにしていました。


怖い話で有名なタレントの話はたいてい聞いていました。話し手として出てきたタレントを見るだけで「あ、この話、大して怖くないで」とか「こいつの話、オチがないんだよねぇ」などと言っていました。タレントの話芸に厳しいつっぴ君は、怪談話番組には、すっかり耐性ができてしまっていたようでした。それでも伊集院光さんの怪談話は本当に怖かったようで、「最後まで聞くと、本当に怖いですよ」という伊集院さんの語りにチャンネルを変えてしまったこともありました。


B級でガヤガヤしていて視聴者がやたら参加するような番組が好きだったつっぴ君には、怪奇バラエティは、絶好の暇つぶしで気分転換だったようでした。これでもかこれでもかと出てくる視聴者投稿の怪談話の再現VTRに声を殺して笑っていました。VTRが流れるスタジオで、突如怪奇現象のハプニング!などには、タバコの煙をぷーっと吹き出して笑っていました。


気に入ってよく見ていたのは、稲垣吾郎さんの「ほんとにあった怖い話」と、国分太一さんがMCを勤め、嵐の5人が体当たりレポートなどをしていた「USO JAPAN」でした。「ほんとにあった怖い話」では子役が「ほんこわクラブ」というのを作っていたのですが「入りたい〜。ほんこわクラブ入りたい〜」と番組を見ながら言っていました。「USO JAPAN」では霊媒体質なのか暗示にかかりやすいのか、度々金縛りや失神をする相葉君を「こいつ、またーw」と笑って見ていました。ジャニーズ好きも手伝ってか、この2番組には評価も甘く、ここで嵐が訪れた場所には「よし!来週行くで!!」などと言っては、私が嫌がるのを楽しんでいました。


そんなつっぴ君でしたが、本当に怖かったテレビ番組がありました。いつだったか散歩をしている時に「昨日見た、怖いテレビの話していい?」と言い出しました。もちろん断りましたが「ただ怖いんじゃないんやで。すごくよくできてたんやー」と神妙な顔で言うのです。たいていの番組を鼻で笑うつっぴ君が「怖すぎてやめられなかった」「一人で起きてて怖かった」と言い、どうやら昨夜以来今の今まで怖かったらしいのに興味をひかれ、結局話を聞いてしまいました。


内容は忘れてしまいましたが、怖かったです。話し終えて「なぁ、怖いやろー」と、まだ自分も怖くてしかたがないという顔のつっぴ君に、昨日起きていて一緒に観ればよかったと思わずにはいられませんでした。