つっぴ君と 国民の義務

つっぴ君は、選挙が好きでした。欠かさず投票へ行き、夜は選挙速報に釘付けでした。


日曜日、ゆっくりお昼を済ませて家を出ると、投票所までは歩いてほんの数分でした。その道のりでは、同じような年頃の夫婦連れが同じ場所目指してぷらぷら歩いているのと一緒になりました。「みんな投票へ行くんだねぇ」などと言いながら、のんきな住宅街を抜け、のどかな遊歩道を過ぎると小学校が見えました。
投票所は私の出身小学校でした。あれもなくなった、これもなくなった、校庭が狭くなった、校舎がきれいになったという私の話を聞き流しつつ、つっぴ君は体育館へ向かいました。つっぴ君と私は粛々と投票を済ませ、新聞社の出口調査に捕まって、校庭へ出ました。


夕食が済むと、開票速報を楽しみにしていました。テロップが流れると「お!」と言って、見入っていました。大きな選挙では特番が組まれ、そうなると18時くらいからテレビの前を動きませんでした。「
朝生」や「TVタックル」や日曜日の朝の討論番組などを観ているつっぴ君には、知っている名前も多いらしく、また各党の党首や選対委員長などが各局ひっぱりだこでコメントする様子を大喜びで観ていました。
「ご近所はみんな投票に行ってたみたいなのに、投票率低いねぇ」とか「このヒトお化粧崩れてるよ。TVなんだから直さないと」などと言おうものなら「この人たち寝てないんやで。目も充血して顔も脂ぎって当然や。これが選挙やで」とお説教を食うことになりました。それでも、つっぴ君があまりに熱心にTVを観ては笑っている姿に「何か面白いのかもしれない」と家事の手を止めて開票状況や得票率をつっぴ君に尋ねました。つっぴ君は実況しつつ、スタジオにコメンテーターとして来ている現職議員などに「こいつものー」などと文句を言いながら、私に解説をしてくれました。


もしかしたら、とても真面目に日本の将来を考えているのかなぁと思ったこともありました。でも駅前に立つ立候補者を横目に「君も出ろや。面白いでー。楽しいでー。通るでー」と言い、派手なスタッフジャンパーを着た私を想像して大笑いする姿に「そうでもないかもしれない」と思いました。投票を済ませ小学校を後にしたつっぴ君は「君の小学校の校章、変なのw」と笑っていました。


今日の都議選はつっぴ君のお眼鏡にかなう面白さだったのかしらと思います。




先日書いた、つっぴ君がグラタンピザを気に入って、いもうとたちを連れて行ったお店です。
http://www.ggc-tsurumi.com/food.html