つっぴ君と 世紀の天体ショー

つっぴ君は、天文学が好きでした。
時々、天文学の本を買ってきていました。本棚や、鞄の横に置いてある天文学の本を「貸してー」と言うと「ええで」と読ませてくれました。「面白かったー」と返すと「うん」と答え、「よくわからなかった」と返すと「おにいさんも」と答え、「こっちのがわかりやすいで」と他の本を薦めてくれました。新聞の書評欄で面白そうな本を見つけて知らせると、無言で書評を読み、ある時帰宅するや鞄から出して「おもしろかったで」と貸してくれたりもしました。


私たちが中学生の頃、カール・セーガン博士の「コスモス」が放送されていました。つっぴ君も私も夢中で観ていました。
10数年前、「コンタクト」という映画が公開されました。カール・セーガン博士が原作のSF映画です。いつものように、つっぴ君は過度の期待は抱かないよう、細心の注意をして映画に臨みました。でも、始まってすぐに、くっと魂を掴まれてしまっていたようでした。オープニングが、かつて夢中で観た「コスモス」の雰囲気そのままだったからです。観終わって、また二人であぁでもない、こうでもないと話をしました。「ラストが甘いのぅ」と言うつっぴ君に「そこがいいじゃん」と言うと「そうやのぅ」と、なんだか懐かしそうな顔をしていました。


今日は皆既日食でした。つっぴ君は決して悪石島へ行ったりはしなかったと思います。でも、たぶん「代休とったんや」と言って休んでいたはずです。たぶん「昔より、いいのが安いのぅ」と言い訳しながら、望遠鏡も先週末には買っていたことでしょう。そして、今日の曇天には「こうなると思ってたんや」と、一応出かけた土手の上でつぶやいていたと思います。


つっぴ君は一部の情報によると虹も出し放題らしいので、皆既日食もし放題なのかなぁ。次の日食は観られるといいなぁと思います。



映画「コンタクト」 また観たいです。爆音シネマでやらないかなぁ。
http://www.youtube.com/watch?v=kNAUR7NQCLA