つっぴ君と 二代目の猫

つっぴ君は、初代、二代目と猫を飼っていました。初代は結婚して3年目、二代目は3年前に、拾ったり、もらったりした猫です。


初代は駅の植え込みで拾いました。ペット禁止の賃貸マンションに猫を拾ってきた私に「飼い主探さないと」とは言ったものの、里親の見つからない猫を手放せとは言いませんでした。鶴見に引っ越す際の新居選びの重要な条件の一つが「ペット可物件」であることでした。
つっぴ君はこの猫の写真を大量に撮影し、カレンダーも作っていました。鶴見では最寄り駅にもたくさんの野良猫がいましたが、その猫も散歩がてらよく見に行ったものです。


つっぴ君は猫を猫可愛がりしないどころか、対等に付き合っていたので、よく喧嘩をしていました。猫がちょっと手を出すと「なんだよぅ。なにするんだよぅ」と言って反撃するのです。猫は爪という武器を持ってはいますが、体格的に断然不利です。私は猫がつっぴ君に流血させないか、つっぴ君が猫にうっかり大ダメージを与えてしまわないか、とても心配でした。私が二人の間に慌てて割って入ると「遊んでただけやん。喧嘩とちゃうでぇ」と言うと、急に猫なで声で「のぅ。仲良しのー。仲良しの証拠」と言ってはまた手を出して引っ掻かれていました。


二代目は、初代がお世話になった動物病院の紹介で引き取った猫です。初代が亡くなって半年ほどのことでした。義父もつっぴ君も、まだショックも癒えていないだろうと引き取るのを躊躇していたのですが、相談すると「明日、見に行こう」と言ってくれました。初代は女の子、二代目は男の子でした。予防接種も避妊手術も病院でしてくれて、譲ってくれるという話をしたところ、つっぴ君は「手術?どうするの!?」と気色ばんで聞き返しました。男の子の場合は中身だけ取ってしまうのです。明日明後日のうちに手術をし、その後連れて帰ることになるというと、つっぴ君は神妙な面持ちで「付いてるうちに顔を見ておこう」と言いました。
翌日、面会に行くと、我が子はもう男の子ではなくなっていました。引き取ってもらえる公算大と踏んだ獣医さんが、早速手術を済ませていたのです。つっぴ君と私はすでに空っぽの我が子のポシェットを確認しました。つっぴ君は「切ないのぅ・・・」と、そのぺしゃんこぶりを眺めていました。


初代も二代目もつっぴ君とよく喧嘩をする暴れん坊でした。そして甘えん坊でした。つっぴ君の足元で眠るのが好きで、タオルケットや毛布を毛だらけにしていました。つっぴ君が不在のときは、留守居を預かっているかのように、ベッドの真ん中でつっぴ君のように寝ていました。二代目はきっと男同士の心の交流があったのだろうと思います。



つっぴ君とコバンザメのような初代です。


つっぴ君のすねにもたれて眠る二代目です。