つっぴ君と ぴっかぴかマシーン

つっぴ君は、整理整頓が好きでした。
会社で使っていた私物の中に、黒いトレイがありました。引き出しに入れて、文具類をきれいに収納するためのものです。つっぴ君はこのトレイを買うために、あちこち文房具屋さんを巡っていました。ハンズでつっぴ君がこのトレイを手に取り「おにいさん、これ買う」と言ったときは、「やっと決まったねぇ」としか思いませんでしたが、会社から戻ってきた私物の中にこれを見つけた時「ほんとに気に入って買ったんだなぁ」と思いました。家でも同じ物を使っていたからです。


つっぴ君はお掃除も好きでした。しばしば白物家電を磨いていました。さすがに冷蔵庫の中のトレイを外すまではしていませんでしたが、白物家電がみるみる本来の白さを取り戻していく様子が好きだったようでした。炊飯ジャーやポットなど、冷蔵庫なら前の扉全面を真っ白に拭きあげていました。
白くなくても、お手頃サイズで磨ける物なら磨いていました。私がいいかんじに照りを出していたヤカンなども、ぴかぴかに磨き上げて「ほらっ!」と目の前に突き出してみせました。私はそこはかとなく自分の顔が映るヤカンに「すごいねぇ。ありがとう」と言うよりほかはありませんでした。


つっぴ君は、みるみるきれいになっていく様を見るのが好きでした。完璧にきれいになっているのを見るのが好きでした。なので、引き出しの中とか炊飯ジャーなど範囲が限られているものにしか、清掃意欲をそそられないようでした。掃除機などには目もくれませんでしたし、お風呂掃除もほとんどしませんでした。「だって、やっても完璧にきれいにならないんだもん」と言うつっぴ君に、私は「それが家事というものです」と諭すようにいいました。でも、つっぴ君にとって「お掃除」は一つの余暇の過ごし方で、決して家事にはなりえませんでした。


会社でのつっぴ君の机は、たぶん、たぶんですがきれいに片付いていたのではないかと思います。それは「ここ、俺の領土」で「完璧に片付ける」ことが出来たからだと思います。
完璧に片付けるには少々広すぎたつっぴ君の部屋は、紙の物が散乱していました。



カメラが壊れちゃったので最近画像がアップできません。がっかりです。